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執筆者の写真村上晴彦

高円寺 座・高円寺



夜の座・高円寺。

 仕事帰りに行きやすいから昨年も何回か行ったけど、今年初めての座・高円寺です。流山児事務所さんの『雨の夏、三十人のジュリエットが還ってきた』を観てきました。流山児事務所さんが清水邦夫さんの戯曲を初めて取り上げるというのと、いろんな条件が整ったので観劇の運びとなりました。

 例によってこの作品を観るのは初めてでして、知らなかったけど1982年の作なのだとか。だから空襲に遭って四散していた歌劇団の面々が時を隔てて本拠のデパートに帰ってくるのはいいんだけど、今いつなんだろう?とか考えながら観てたんですけど、それで少し合点がいきました。とにかく、三十人ものジュリエットが舞台で歌って踊るのは壮観です。改めて生身の人間のパワーを感じた。

 でも『ロミオとジュリエット』を下敷きとしているのでそうそううまく再起は叶わないということなんですかね。全部が全部理解できたとは思わないけど、「生きたフリ」して虚構の世界にとどまり続ける人間は、虚構の物語を完結させることでしかフリをやめることはできない。フリをやめて現実の世界に戻るという選択肢もなくはないのだろうけど。だから、それはとても哀しい。またしても今日的な「終活」という言葉をふと思いだしたこの日の舞台でした。

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