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執筆者の写真村上晴彦

小竹向原 アトリエ春風舎



ここが入口。駅から来ても、ちょっと見つけづらい。

 ピンクの建物の地下にあります。らせん階段ぐるぐる回って目が回りそうになりながら辿り着くとそこに『せかいのはじめ』はあった。前半と後半でトーンの全く異なるモノローグドラマが二つ。でもきっとつながっている。世界はきっとみんなつながっているんだ。舞台はそのための基地局、中継点になるといいなと思った。

 「小竹向原」、東京メトロの駅名。なじみのない方にはわからないかもしれないが、「小竹町」と「向原」をくっつけた言葉。小竹は練馬区、向原は板橋区。今年話題になった「高輪ゲートウェイ」的複合語。あっちのがインパクト上だなぁ。地下鉄通す時に、練馬区と板橋区とでいろいろあったのかな?どっちを前にするか、とかもあったかも知れない。駅そのものは、改めて地図を見るとやはり両区にまたがっていて、練馬区側に寄ってるみたいだから、この名前に落ち着いたのか。境界とは厄介なものだ。創生期にはなかっただろうに。最初に線を引いたのは誰なんだろう?そんな「世界のはじめ」について考えた。

 そこはさすが「青年団」というべきか、客扱いがとっても丁寧で無駄がない。一杯になるというので、空いてる隅っこの席に入ったんです。で、上着脱いでカバンおろして座ろうとした瞬間にかたんとイヤな音がした。自転車のカギを落としたのでは?と思い、慌ててポケットとカバンを探るが案の定ない。どうも一段下った、一列前まで行ってしまったようだ。客電の下では探せそうもないので、入口にいた女性にお願いをしました、後で探させて欲しい、と。そんなんで時間取って本番に影響したら申し訳ないので。

 アフタートークは出入り自由だとのことで、とりあえず明るいところでもういっぺんよく探してみようと外でました。ないなぁ。じゃやっぱり戻るか。そしたら、小屋の前に、俺が中でお願いをした(たぶんね)女性が立っていて、自転車のカギを持っていました。どうやらそのことを覚えていて、探してくれたようです。おかげで無事に帰ることができました。ほんとに感謝をしています。とりあえずその場でお礼は言いましたが、名前ぐらい聞いときゃよかった、と後で思いました。

 そんな、むらかみと世界をつなぐキーアイテム(だからキーじゃん)にまつわる、ちょっと心暖まるおはなしでした。

 もしも公演関係者の方が、この記事を読んでいたら、むらかみが大変感謝していますとお伝え願いたいです。よろしくお願いします。

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