帰り道、自転車を漕ぎながら綺麗な半月を見上げて考えた。この日影に隠れて見えなかったものが今日の舞台にあっただろうかと。
東中野なのか中野なのか、結構微妙なポジションにRAFTはある。大久保通り沿いではあるが、店はそう多くない。時間が余ったので、「和食のさと」が近くにあって助かった。中はまたしても小さなスペース。もうすぐ真ん前に役者さん。
今回観たのは、「Tokyo Grow Fiction Company」さんの『子守歌より深いところで』。またしても知り合いの最中さんが出演する舞台である。兎亭といいここといい、最中さんはこういう小さな舞台によく立つ、気がする。たまたまなのか好きなのか。タイトルは結構深淵だが、内容としてはそこまで重くはない。ただ、のっけからいきなり主演男優が自殺、という物語ではありますけどね。なんだかんだで彼は曖昧な存在として最後まで舞台にとどまり続けるので、実はそう暗くはない。
客席と近いこともあり、演技はわりと静かというか淡泊。いわゆるセリフと共に、ト書き風説明を間に交えて語るので、それは良いことなのかどうなのか。
その度に素に帰る役者さんたちはストレスを感じないのだろうか、などと少し考えた。