自分も昭和の人間であるし、「本番は熱があろうが足骨折しようが這ってでも来る」ものだと言われて育った。その意味は、素朴にお金がかかっているということもあるが、「芝居は多くの人の力が結集して成立する」だから穴を開けてはいけない、という風に自分では理解も納得もしている。実際、過去には発熱をおして舞台に立ったこともあるし(そして案外そういう時に限って要らぬ力が抜けてかえっていい芝居できたりする)、足骨折してるのに装具つけてよちよちやったこともある。
そうはいかないのがコロナの時代というもので、今は「ちょっとでも具合悪かったら休んでください」と言ってやっている。そのためには、保険をかける、ということも必要なんだな、と前回も思ったけど今回またそういう事態になった。
そもそも、元々やるつもりだった演目が一人降板で出せなくなり、準備した今回の演目
『家政婦はよく見てなかった』というパクリみたいなタイトルの作品だが、これも感染者の増加とともに雲行き怪しくなり、緊急事態宣言が発出されるに及んで、大事をとって一人お休み、そして当日朝にもまた一人。登場人物四人中二人を欠くということになってしまいました。その方々にはその方々の事情があり、稽古もしてきて、本番立てない、というのはとても無念だと想像するので、いつかまた改めて元のメンバーで上演したい、という意欲はもっている。
それはそれとして、副産物として生まれたのがたいそう珍しいカップリングでした。柴崎紀美演劇事務所の柴崎氏は、もう長いつきあいで、彼女の主宰する公演には何回も関わっている。しかし、舞台上でまともに絡む機会はあまりなくて(多くは舞台監督やってたからだ)、いつかやれたらいいと思っていた一人である。今回も、稽古を見て欲しい、といって招いていたのだが、その時にたまたま一人降板、という事態になり、代読をお願いしたところ、控え目な方なので、「私?」と言ってはにかみながらも引き受けてくれた。その場で台本を手にすると、すぐどんな役でどういうイメージなのか、と質問してくるあたりがさすがに場慣れしている。余談ですけど、この作品も実を言うと、柴崎氏との会話の中から生まれたものなんです。
そしてもう一人、manegoさんは、昨年の「ぷち✕夏まつり」以来ちょっと交流がありまして、その時の彼女はゲストユニットの出演者だったので舞台で絡む機会はなかったのですが、そのうちご一緒できたらいいなと思って事あるごとに声をかけたりしている。今回はありがたいことに当日お手伝いを買って出てくれたので、お願いしてみたところ、快く代読を引き受けてくれた。
いつか舞台でご一緒できたらいいなと思っていた女優さん二名と台詞を交わす機会が持てたことは思わぬ副産物というか良い経験というか。お二人の協力に感謝、というのは何回もいってますけど、改めて心よりお礼を言いたいです。そして、新たな地平があるのだろうか、この続きはまた語られる、かもしれない。
これからも、またいろんな人と舞台でからめたらいいなと思ってます。
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